2010年3月1日

著者について:大内伸哉(おおうちしんや)、詳細は犬郎の『労働法実務講義』(2009年12月29日掲載)の項を参照されたい。

サブタイトルに労働法入門とあるが本当の入門者である。紹介されている判例にも、判例名や所収判例集などの情報がないので、本書をきっかけに掘り下げて情報にあたる人の便は予定されていない。

内容的にも、人事の労務担当には、常識レベルの内容なので参考とはならないと思われる。

本書を読まれた方は、かなりのことをしないとクビにはならないとの実感を持たれると思う(とくに懲戒解雇)。みなさんの実感値と比較されるとどうでしょう。

1講 ブログ
2講 副業
3講 社内不倫
4講 経費流用
5講 転勤
6講 給料泥棒
7講 内部告発
8講 合併
9講 残業手当
10講 新人採用
11講 セクハラ
12講 過労死
13講 労災認定
14講 定年
15講 喫煙問題
16講 痴漢
17講 妊娠出産
18講 経歴詐称
補講


犬郎ノート(すんません!スヌーピー自分のためのノートなので整理されてません。)

副業の際の割増賃金の取り扱い(p30)

「原則として、時間的に後にその労働者を雇ったほうの会社に割増賃金の支払い義務があると考えられ」る

副業の際の通勤労災について(p31)
「2006年4月以降は、「就業の場所から他の就業の場所への移動」も「通勤」に含まれることにな」った。

「会社は、どうしても辞めさせたいと考える社員がいるときは、その身辺を調査してなんとかして規律違反を探し出すでしょう。…中略…会社が本気になれば、あなたを辞職に追い込むことはそれほど難しくない」(p72)

公益通報者保護法の保護要件(p80)

会社への内部通報の場合には保護される要件が最も緩く、監督官庁への通報はそれに準じる、会社の外部(報道機関等)への通報となると保護要件が厳格になる。

外部への通報が保護されるためには、

①会社に内部通報すれば報復されることが目にみえている
②証拠隠滅のおそれがある
③会社に通報したのに対応してもらえなかった
④個人の生命・身体に危害が発生する窮迫した危険がある

労働法はぎりぎりの局面では、会社法の前に無力(p88)

どこまでやったらクビになるか―サラリーマンのための労働法入門 (新潮新書)/大内 伸哉

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