2010年5月8日

しばらく休んでましたが、再開します。でもまた止まってしまうかも。

久々に読んだ石光真清の手記4部作(城下の人・望郷の歌・ 曠野の花・誰のために)。

日本から届いた『坂の上の雲』のDVDを観て、(同じ日露戦役のあたりの時代背景なので)再読を決意。ようやく読み終えました。

やっぱり凄い。

神風連の乱や西南の役を間近で見て育ち、陸軍エリート軍人の職を捨て、お国のために滅私奉公し、ロシア・満州で諜報活動に奔走した人物の幼年期から老壮期までの実録です。膨大な日記などの資料を、ご子息がまとめられたものです。

困っている人を助ける日本人の国民性がいろいろな箇所に出てきて、改めて日本人の美徳の一つとして認識すると同時に、こうした美徳をのちのちにも引き継いでいかなければなあと痛感する次第。

国を出ても日本を思う心にも圧倒的に打たれます。

ロンドンにいて思いますが、やっぱりいまの日本人には、日本の現状に対する危機感とか、国を思う心だとか、日本人であるということのアイデンティティが欠落しているなあと思いました。

真清や当時の日本人が一般に抱いていた西洋列強に祖国が蹂躙されてしまうのではないかいうような強烈な危機感が、いまの政治家にも国民にもないですよね。

戦争の定義も、いわゆる武力をもっての戦争だけではなく、経済、金融、マネー、情報といった分野にまで適用されるようになってますけど、これらの戦争のいずれにも負けて取り残されたり、後進国となってしまう危機感もやっぱりないですよね。

イギリス人によく「日本はこの先どこにいっちゃうの?」的な質問をされます。ニコニコ笑って黙って聞いていると、「やっぱり落ち着く先はスイスみたいな国かなあ」、「平和でそこそこ繁栄していて、国民性は悪くないけど、どの分野でもトップじゃない。住めば都みたいな国」、「日本ってなにをするにしても参入障壁が高くって、投資も移住もできないよね」、EU全体の対日輸出高は、対トルコよりも低いらしいなどと聞くといたたまれなくなります。

こんな話を聞いて、猛烈に日本の将来を考えさせられた。いまなにかをしなければと思うようになりました。

状況が揃えばわが同胞日本人も危機感を感じて、いま一度明治の御代や戦後の復興期のような活力のある国民に戻れるのでしょうか。

中国やインドから来た人たちと話すたびに、この人たちのバイタリティーって凄いなって、その原動力はなんだろうって考えさせられるけど、

でもやっぱり負けてたまるか!!